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民法770条1項1号の不貞な行為の意義

昭和48年11月15日最高裁判所第一小法廷判決

裁判要旨    
民法七七〇条一項一号の不貞な行為とは、配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わない。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52108

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/108/052108_hanrei.pdf

民法七七〇条一項一号所定の「配偶者に不貞の行為があつたとき。」とは、配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいうのであつて、この場合、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わないものと解するのが相当である。

原判決が確定した事実によれば、上告人は、昭和四二年四月ころから同年一〇月末ころまでの間に、Dと共謀のうえ、自己の自由な意思にもとづいて、自ら婦女三名を強いて姦淫し、性的関係を結んだというのであるから、上告人に不貞な行為があつたと認めるのが相当であり、これと同趣旨の原審の判断は、正当として是認することができる。

原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、右事実関係のもとにおいては、本件につき民法七七〇条二項の規定を適用しなかつた原審の判断は、正当として是認できる。