最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-05-15から1日間の記事一覧

 認知者が血縁上の父子関係がないことを理由に認知の無効を主張することの可否

平成26年1月14日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 認知者は,民法786条に規定する利害関係人に当たり,自らした認知の無効を主張することができ,この理は,認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異ならない。(補足…

マンションの区分所有者が,業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を配布するなどする行為が,建物の区分所有等に関する法律6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地がある場合

平成24年1月17日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 マンションの区分所有者が,業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を配布し,マンションの防音工事等を受注した業者の業務を妨害するなどする行為は,それが単なる特定の個人…

土地の売買契約の買主が売主に対し債務の履行を求めるための訴訟の提起等に係る弁護士報酬を債務不履行に基づく損害賠償として請求することの可否

令和3年1月22日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 土地の売買契約の買主は,当該売買契約において売主が負う土地の引渡しや所有権移転登記手続をすべき債務の履行を求めるための訴訟の提起・追行又は保全命令若しくは強制執行の申立てに関する事務を弁護士…

労働者に過重な業務によって鬱病が発症し増悪した場合において,使用者の安全配慮義務違反等に基づく損害賠償の額を定めるに当たり,当該労働者が自らの精神的健康に関する一定の情報を使用者に申告しなかったことをもって過失相殺をすることができないとされた事例

平成26年3月24日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 労働者に過重な業務によって鬱病が発症し増悪した場合において,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,使用者の安全配慮義務違反等に基づく損害賠償の額を定めるに当たり,当該労働者が自らの精神的健康に…

非訟事件手続法による過料の裁判の合憲性  裁判に対する不服申立についての裁判の合憲性

昭和41年12月27日最高裁判所大法廷決定 裁判要旨 一 非訟事件手続法による過料の裁判は、憲法第三一条、第三二条、第八二条に違反しない。二 前項の裁判に対する不服申立についての裁判は、公開・対審の手続によらなくても、憲法第三二条、第八二条に違反し…

離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において当事者が婚姻中にその双方の協力によって得たものとして分与を求める財産の一部につき財産分与についての裁判をしないことの許否

令和4年12月26日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において、裁判所が離婚請求を認容する判決をするに当たり、当事者が婚姻中にその双方の協力によって得たものとして分与を求める財産の一部につき、財産分…

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による医療の終了の申立て及び退院の許可の申立て各棄却決定に対する各抗告棄却決定に対する再抗告事件

平成29年12月25日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 1 最高裁判所は,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の再抗告事件において,同法70条1項所定の理由が認められない場合であっても,原決定に同法64条所定の抗…

合資会社の無限責任社員が退社により当該会社に対して金員支払債務を負う場合

令和元年12月24日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 無限責任社員が合資会社を退社した場合において,退社の時における当該会社の財産の状況に従って当該社員と当該会社との間の計算がされた結果,当該社員が負担すべき損失の額が当該社員の出資の価額を超…

協議離縁無効確認

昭和62年7月17日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 養子縁組の当事者の一方の提起した離縁無効確認の訴えは、その縁組が無効であるとの主張が認められた場合であつても、訴えの利益を失わない。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55198 h…

離婚無効確認等請求

昭和43年10月31日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 一、婚姻の継続中に、自己の意思に基づかないでほしいままに協議離婚届を偽造、行使され、真実に反する離婚の事実を戸籍に記載された者がこれによつて損害を生じたときは、不法行為が成立し、該行為者は…

婚姻無効確認請求

昭和44年4月3日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 事実上の夫婦共同生活関係にある者が、婚姻意思を有し、その意思に基づいて婚姻の届書を作成したときは、届書の受理された当時意識を失つていたとしても、その受理前に翻意したなど特段の事情のないかぎり…

養子縁組無効確認請求

昭和23年12月23日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 一 旧民法第八五一条第一号(新民法第八〇二条第一号)にいわゆる「当事者間に縁組をする意思がないとき」とは、当事者間において真に養親子関係の設定を欲する効果意思を有しない場合を指し、たとえ養子…

再生計画認可決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件

令和3年12月22日最高裁判所第二小法廷決定 判示事項 再生計画の決議について民事再生法174条2項3号所定の不認可事由があるとはいえないとされた事例 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/820/090820_hanrei.pdf 第1 令和3年(許)第4号抗…

弁護士法23条の2第2項に基づく照会に対する報告をする義務があることの確認を求める訴えの適否

平成30年12月21日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 弁護士法23条の2第2項に基づく照会をした弁護士会が,その相手方に対し,当該照会に対する報告をする義務があることの確認を求める訴えは,確認の利益を欠くものとして不適法である。 https://www.co…

政党が党員に対してした処分は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権が及ばない。

昭和63年12月20日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一 政党が党員に対してした処分は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権が及ばない。二 政党が党員に対してした処身の当否は、政党の自律的に定めた規範が…