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主位的請求を棄却し予備的請求を認容した第一審判決に対し第一審被告のみが控訴した場合と控訴審の審判の対象

 昭和58年3月22日最高裁判所第三小法廷判決

裁判要旨    
主位的請求を棄却し予備的請求を認容した第一審判決に対し、第一審被告のみが控訴し、第一審原告が控訴も附帯控訴もしない場合には、主位的請求に対する第一審の判断の当否は、控訴審の審判の対象とはならない。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/919/066919_hanrei.pdf

 

主位的請求を棄却し予備的請求を認容した第一審判決に対し、第一審被告のみが控訴し、第一審原告が控訴も附帯控訴もしない場合には、主位的請求に対する第一審の判断の当否は控訴審の審判の対象となるものではないと解するのが相当であるから、これと同旨の見解を前提とする原判決は正当であり、また、記録にあらわれた本件訴訟の経過に徴すれば、原審が所論の点について釈明権を行使しなかつたとしても審理不尽等所論の違法があるとは認められない。

論旨は、ひつきよう、独自の見解に基づいて原判決を論難するか、又は原審の裁量に属する審理上の措置の不当をいうものにすぎず、採用することはできない。