最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-07-18から1日間の記事一覧

人訴第四条は、後見監督人または後見人が禁治産者の法定代理人としてその離婚訴訟を遂行することを認めたものではなく、その職務上の地位に基き禁治産者のため当事者として右訴訟を遂行しうることを認めた規定と解すべきである。

昭和33年7月25日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 一 人訴第四条は、後見監督人または後見人が禁治産者の法定代理人としてその離婚訴訟を遂行することを認めたものではなく、その職務上の地位に基き禁治産者のため当事者として右訴訟を遂行しうることを認…

既に弁済期にある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというための要件

平成25年2月28日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 1 既に弁済期にある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというためには,受働債権につき,期限の利益を放棄することができるというだけではなく,期限の利益の放棄又は喪失等により…

入会部落民全員が、その総有に属する土地について、入会権者として登記の必要に迫られ、単に登記の便宜から、右部落民の一部の者のために売買による所有権移転登記を経由した場合には、民法第94条第2項の適用または類推適用がない。

昭和43年11月15日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 入会部落民全員が、その総有に属する土地について、入会権者として登記の必要に迫られ、単に登記の便宜から、右部落民の一部の者のために売買による所有権移転登記を経由した場合には、民法第九四条第二…

間接事実についての自白の拘束力

昭和41年9月22日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 いわゆる間接事実についての自白は、自白した当事者を拘束しない。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/988/053988_hanrei.pdf 上告人の父Dの被上告人らに対する三〇万円の貸金債権を相続によ…

内縁の夫の運転する自動車に同乗中に第三者の運転する自動車との衝突事故により傷害を負った内縁の妻が第三者に対して損害賠償を請求する場合にその賠償額を定めるに当たり内縁の夫の過失を被害者側の過失として考慮することの可否

平成19年4月24日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 内縁の夫が内縁の妻を同乗させて運転する自動車と第三者が運転する自動車とが衝突し,それにより傷害を負った内縁の妻が第三者に対して損害賠償を請求する場合において,その損害賠償額を定めるに当たって…

複数の加害者の過失及び被害者の過失が競合する一つの交通事故においていわゆる絶対的過失割合を認定することができる場合における過失相殺の方法と加害者らの賠償責任

平成15年7月11日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 複数の加害者の過失及び被害者の過失が競合する一つの交通事故において,その交通事故の原因となったすべての過失の割合(いわゆる絶対的過失割合)を認定することができるときには,絶対的過失割合に基づ…

主位的請求を棄却し予備的請求を認容した第一審判決に対し第一審被告のみが控訴した場合と控訴審の審判の対象

昭和58年3月22日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 主位的請求を棄却し予備的請求を認容した第一審判決に対し、第一審被告のみが控訴し、第一審原告が控訴も附帯控訴もしない場合には、主位的請求に対する第一審の判断の当否は、控訴審の審判の対象とはなら…

民法903条1項により算定されるいわゆる具体的相続分の価額又は割合の確認を求める訴えの適否

平成12年2月24日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 民法九〇三条一項により算定されるいわゆる具体的相続分の価額又はその価額の遺産の総額に対する割合の確認を求める訴えは、確認の利益を欠くものとして不適法である。 https://www.courts.go.jp/app/file…

法定相続分を下回る相続分を指定された共同相続人の一人から法定相続分に応じた共有持分権を譲り受けた者が取得する持分の割合(重要)

平成5年7月19日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 遺言により法定相続分を下回る相続分を指定された共同相続人の一人が、遺産を構成する特定不動産に法定相続分に応じた共同相続登記がされたことを利用し、右登記に係る自己の共有持分権を第三者に譲渡し、…

畜犬の飼主に保管上の過失を認めた事例

昭和56年11月5日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 飼主が散歩に連れて行こうとして檻から出した畜犬が公道に飛び出し、進行中の原動機付自転車に接触して転倒させ、運転者を負傷させるなど原判示のような事情があるときは、飼主に畜犬保管上の過失がある。…

 違法な仮差押命令の申立てと債務者がその後に債務者と第三債務者との間で新たな取引が行われなくなったことにより喪失したと主張する得べかりし利益の損害との間に相当因果関係がないとされた事例

平成31年3月7日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 債権の仮差押命令の申立てが債務者に対する不法行為となる場合において,上記仮差押命令の申立ての後に債務者と第三債務者との間で新たな取引が行われなくなったとしても,次の(1),(2)など判示の事情の下…

東京都による動く歩道の設置に伴う環境整備工事に威力業務妨害罪としての業務性及び要保護性が肯定された事例

平成14年9月30日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 1 東京都が都道である通路に動く歩道を設置するため,通路上に起居する路上生活者に対して自主的に退去するよう説得して退去させた後,通路上に残された段ボール小屋等を撤去することなどを内容とする環…

保存された男性の精子を用いて当該男性の死亡後に行われた人工生殖により女性が懐胎し出産した子と当該男性との間における法律上の親子関係の形成の可否

平成18年9月4日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 保存された男性の精子を用いて当該男性の死亡後に行われた人工生殖により女性が懐胎し出産した子と当該男性との間に,法律上の親子関係の形成は認められない。(補足意見がある。) https://www.courts.go.…

事業用ビルの賃貸借契約が賃借人の更新拒絶により終了しても賃貸人が信義則上その終了を再転借人に対抗することができないとされた事例

平成14年3月28日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 ビルの賃貸,管理を業とする会社を賃借人とする事業用ビル1棟の賃貸借契約が賃借人の更新拒絶により終了した場合において,賃貸人が,賃借人にその知識,経験等を活用してビルを第三者に転貸し収益を上げ…