最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

畜犬の飼主に保管上の過失を認めた事例

 昭和56年11月5日最高裁判所第一小法廷判決

裁判要旨    
飼主が散歩に連れて行こうとして檻から出した畜犬が公道に飛び出し、進行中の原動機付自転車接触して転倒させ、運転者を負傷させるなど原判示のような事情があるときは、飼主に畜犬保管上の過失がある。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/895/066895_hanrei.pdf

 

主    文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理    由
上告人及び上告代理人の上告理由について

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし肯認することができ、右事実関係のもとにおいて、原審が上告人に民法七一八条による損害賠償責任を認めたことは正当であり、また、上告人の過失を六割、被上告人の過失を四割として過失相殺した原審の判断を違法とすべき理由もない。

論旨は、いずれも採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。