最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

 刑事訴訟手続において外国の管轄司法機関により行われた嘱託証人尋問の調書の民事訴訟における証拠能力

 平成7年6月29日最高裁判所第一小法廷判決

裁判要旨    
刑事訴訟手続において外国の管轄司法機関により行われた嘱託証人尋問の調書は、当事者に反対尋問の機会が与えられていなくても、民事訴訟において書証としての証拠能力を有する。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/121/076121_hanrei.pdf

主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
理    由
 上告代理人の上告理由第一の一について
所論の証人尋問調書が民事訴訟において書証としての証拠能力を有するとした原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、独自の見解に立って原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。
 その余の上告理由について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
 よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。