最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

2023-06-12から1日間の記事一覧

線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた認知症の者の妻や長男が法定の監督義務者に準ずべき者に当たらないとされた事例

平成28年3月1日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 1 精神障害者と同居する配偶者であるからといって,その者が民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできない。 2 法定の監督義務者に該当しない者であ…

 相続権不存在確認請求事件

平成16年7月6日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 共同相続人が,他の共同相続人に対し,その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは,固有必要的共同訴訟である。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/382/052…

東京都が管理職に昇任するための資格要件として日本の国籍を有することを定めた措置が労働基準法3条,憲法14条1項に違反しないとされた事例

平成17年1月26日最高裁判所大法廷判決 裁判要旨 1 地方公共団体が,公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員の職とこれに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築した上で,日…

建物の設計者,施工者又は工事監理者が,建築された建物の瑕疵により生命,身体又は財産を侵害された者に対し不法行為責任を負う場合

平成19年7月6日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 建物の建築に携わる設計者,施工者及び工事監理者は,建物の建築に当たり,契約関係にない居住者を含む建物利用者,隣人,通行人等に対する関係でも,当該建物に建物としての基本的な安全性が欠けることが…

不適法なことが明らかであって当事者の訴訟活動により適法とすることが全く期待できない訴えにつき口頭弁論を経ずに訴えを却下するか又は却下判決に対する控訴を棄却する場合における被告に対する訴状、控訴状又は判決正本の送達の要否

平成8年5月28日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 不適法なことが明らかであって当事者の訴訟活動により適法とすることが全く期待できない訴えにつき、口頭弁論を経ずに、訴えを却下するか、又は却下判決に対する控訴を棄却する場合には、訴状において被告…

間接事実についての自白の拘束力

昭和41年9月22日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 いわゆる間接事実についての自白は、自白した当事者を拘束しない。 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/988/053988_hanrei.pdf 上告人の父Dの被上告人らに対する三〇万円の貸金債権を相続によ…

第三者の一審における訴訟行為につき二審で追認があったものとされた事例

平成2年12月4日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一審で第三者が被告の氏名を冒用して訴訟行為をした場合でも、被告本人が自ら控訴を申し立て、その選任した訴訟代理人が異議をとどめずに本案について弁論をし、判決を受けたときは、一審での第三者の訴訟…

一つの交通事故について甲及び乙が連帯して損害賠償責任を負う場合に乙の損害賠償責任についてのみ過失相殺がされて両者の賠償すべき額が異なるときに甲のした損害の一部てん補が乙の賠償すべき額に及ぼす影響

平成11年1月29日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 一つの交通事故について甲及び乙が被害者丙に対して連帯して損害賠償責任を負う場合において、乙の損害賠償責任についてのみ過失相殺がされ、両者の賠償すべき額が異なるときは、甲がした損害の一部てん補…

労働者災害補償保険法に基づく保険給付の不支給決定取消訴訟において事業主が労働基準監督署長を補助するため訴訟に参加することが許される場合

平成13年2月22日最高裁判所第一小法廷決定 裁判要旨 労働者災害補償保険法に基づく保険給付の不支給決定取消訴訟において,事業主は,その事業が労働保険の保険料の徴収等に関する法律12条3項各号所定の一定規模以上の事業である場合には,労働基準監督署…

控訴期間の不遵守が控訴代理人の責に帰すべからざる事由によるかどうかにつき職権調査を尽くさなかつたことが違法とされた事例

昭和55年10月28日最高裁判所第三小法廷判決 裁判要旨 昭和53年12月15日判決正本の送達を受けた第一審判決につき、控訴代理人が同年12月26日その控訴状を書留速達郵便物として長崎市内の郵便局に差し出したところ、同54年1月1日に至つて福岡高等裁判所に配達…

債権の差押えに基づき第三者債務者として弁済した旨の抗弁に係る主張の補正及び立証について釈明権の行使を怠った違法があるとされた事例

平成17年7月14日最高裁判所第一小法廷判決 裁判要旨 元本債権及びこれに対する遅延損害金債権の支払請求に対する抗弁として,被告が,いずれの債権についても同時に原告に対する滞納処分としての差押えがされその全額を支払ったと主張する一方,遅延損害金債…

請求の基礎に変更のない請求原因変更の一事例

昭和28年9月11日最高裁判所第二小法廷判決 裁判要旨 1 控訴審においても訴の変更は許される。2 控訴審において訴の変更を許すことは、憲法32条に違反しない。3 家屋明渡の請求原因として、当初所有権に基く不法占拠を予備的請求として期間満了による賃貸借の…