最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

賃借権をもつて第三者に対抗し得る土地の範囲

昭和30年9月23日最高裁判所第二小法廷判決

裁判要旨    
一筆の土地全部の賃借人が地上に登記のある建物を所有するにいたつたときは、その後右土地が分筆され、建物の存在しない部分につき所有権を取得した者がある場合においても、これに対し賃借権を対抗することができる。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/182/056182_hanrei.pdf

主    文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理    由
 上告理由について。

分筆前の宅地の全部につき借地権、――しかもその宅地の上に、登記ある建物を所有することによつて第三者に対抗し得べき借地権――をもつていた被上告人は、その後分筆された右宅地の一部――右建物の存在しない部分――の所有権を取得した上告人に対しても、右借地権を対抗し得るものとした原判決の判断は正当である。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。