最高裁判例の勉強部屋:毎日数個の最高裁判例を読む

上告理由を発見するためには常日頃から最高裁判例を読む習慣が有効:弁護士中山知行/富士市/TEL0545-50-9701

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律11条2項、46条1号と憲法14条1項

令和5年1月23日最高裁判所第一小法廷判決

判示事項    
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律11条2項、46条1号は,憲法14条1項に違反しない。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/702/091702_hanrei.pdf

1 弁護人の上告趣意のうち、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(「暴力団対策法」)11条2項、46条1号の憲法14条1項違反をいう点について

暴力団対策法は、暴力団員の行う暴力的要求行為等について必要な規制を行うこと等により、市民生活の安全と平穏の確保を図り、もって国民の自由と権利を保護することを目的としており(1条)、この目的は正当なものというべきである。

そして、暴力団対策法は、指定暴力団(3条)の暴力団員による暴力的要求行為を禁止した上で(9条)、都道府県公安委員会は、指定暴力団員が暴力的要求行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して類似の暴力的要求行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、その防止のために必要な事項を命ずることができることとし(11条2項)、この命令に違反した者は、3年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとしている(46条1号)。

このような規制は、前記目的を達成するために必要かつ合理的なものであり、指定暴力団員について合理的な理由のない差別をするものということはできない。したがって、暴力団対策法11条2項、46条1号は、憲法14条1項に違反しない。このように解すべきことは、当裁判所の判例最高裁昭和39年5月27日大法廷判決)の趣旨に徴して明らかである。

2 その余の上告趣意について
弁護人本間博子のその余の上告趣意のうち、暴力団対策法11条2項、46条1号の憲法21条1項違反をいう点は、暴力団対策法11条2項、46条1号は、結社の自由それ自体を規制するものではないから、前提を欠き、その余は、量刑不当の主張であり、被告人本人の上告趣意は、原判決に対する不服の理由を具体的に示しておらず、いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。