鉄道高架下施設の一部分の賃貸借契約に借家法の適用があるとされた事例
平成4年2月6日最高裁判所第一小法廷判決
裁判要旨
鉄道高架下施設が土地に定着し、周壁を有し、鉄道高架を屋根としており、永続して営業の用に供することが可能なものであって、その一部分が他の部分とは客観的に区別されていて、独立的、排他的な支配が可能であるときは、右一部分の賃貸借契約には借家法の適用がある。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/632/062632_hanrei.pdf
原審は、
(一) 本件施設物は、鉄道高架下施設であるが、土地に定着し、周壁を有し、鉄道高架を屋根としており、永続して営業の用に供することが可能なものであるから、借家法にいう建物に当たる、
(二) 本件店舗は、本件施設物の一部を区切ったものであるが、隣の部分とはブロックにベニヤを張った壁によって客観的に区別されていて、独立的、排他的な支配が可能であるから、借家法にいう建物に当たる、
(三) 本件店舗での営業に関する亡Dと被上告人との間の本件契約は、経営委託契約ではなく、本件店舗及び店舗内備品の賃貸借契約であって、借家法の適用がある、
(四) 本件契約は、期間満了後、期間の定めのない賃貸借として更新されている、
(五) 亡Dの相続人として同人の地位を承継した上告人がした本件契約の解約申入れに正当事由はない、
として、上告人の本件請求を棄却しているが、原審の右認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、ひっきょう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原判決を正解しないで若しくは独自の見解に立ってこれを論難するものにすぎず、採用することができない。